英国指導者ワークショップに参加して

〜コミュニケーション再考〜

 

 大津市ことばの教室(滋賀県)

比良岡 美智代

 

20119月、英国のウィンチェスター大学で開催されたマカトンREP(指導者ワークショップ)コースに参加させてもらいました。日本からは3年ぶりの参加です。

 

英語が苦手、海外旅行経験はありますが一人で初めて英国へ行くことはとても大きな不安と緊張で数ヶ月間を過ごしました。ワークショップ参加準備のために日本でのワークショップのアシスタント、英語レッスン、日本マカトンサインと英国サインは一部同じですが大部分は違うため英国サインの練習をして出発しました。

 

ウィンチェター大学の施設は快適で、参加者13名(ドイツから1名、日本から1名、他は英国国内から)と指導者3名全員が大学の寮で5日間寝食を共にして学びました。内容はマカトン法についての講義とディスカッション、核語彙のサイン練習、絵本や新聞記事をシンボルへ翻訳、ワークショップ運営の講義等を受けます。4日目に研修内容を実践する場として終日かけて模擬基礎ワークショップを実施します。参加者が3グループに分かれ、各自に割り当てられた講義と実技を行います。参加者は講義を担当する指導者と受講者の両方の役割を演じ、指導教官が評価するものです。その結果がREP資格取得の合否とされます。

 

講義は英語のみで通訳などありません。講義内容は英語が苦手なため十分に内容を聞き取れません。日本でのワークショップアシスタントが多少の内容理解の助けになりましたが、「ことばがわからない」ことが大きな不安感とストレスになることを改めて体験させられました。「わからない」不安感の中、マカトンサインを通して示してもらったことは分かりやすかったこと、英国サイン練習では「good!」と繰り返し褒めて頂いたことは大きな励みになりました。4日目の模擬ワークショップの講義原稿作成(もちろん英語!)のために2日間徹夜で必死に準備しました。グループメンバーに助けてもらい無事にPassすることができ、たいへん嬉しかったです。

 

研修を通して多くのことを学び得ました。その中で最も大きな印象を受けたことは「意味を伝えるためのサイン」であり、それはサインに表情、方向性、動き、配置、視線があることです。当たり前のことですが、自分の日々の実践では見落としていたことに気付かされました。サインを伝えるのではなく、意味を伝えるためにはサインに表情、方向性、動き、配置、視線を十分に使うこと、子どもたちに伝えたい事柄を伝わるように様々な様式を用いることがコミュニケーションであることをもう一度よく考えさせられました。

 

ロンドンは想像以上に移民による多民族・多人種国家であることに驚かされました。英語が理解できない子どもとその保護者とのコミュニケーションにマカトンサインやシンボルが用いられていることを聞きました。オプション語彙(核語彙に追加)としてすでにインターネット、DVDiPodEmailMobile Phone等のサインがあります。さらにiPadにマカトンシンボルを取り入れ、コミュニケーションボードやVOCAとして用いることも見せていただきました。マカトン法は時代や社会の変化のスピードに遅れることはなく、常に社会のニーズに応えて改良していく柔軟さがあることを教えられました。そのために指導者自身が社会のニーズを把握する敏感さが必要と感じました。

 

不安感と緊張感はありましたが貴重な経験をさせて頂き、充実した5日間を過ごさせていただきました。REP候補となって7年、忍耐強く導き続けてくださりこのような機会を与えてくださった日本マカトン協会に心から感謝を申しあげます。

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