千葉県立槙の実養護学校  北崎みどり


 「パパと公園に行ったよ。アイスクリームを食べたよ。」

 「パパと公園?アイスクリームも食べたの!よかったね。」
Mちゃんとのやりとりから)

 「Tちゃん、バスに乗ってなかった!お休みなの?」

 「歯医者さんだから、もう少ししたらママの車で来るよ。」
Rくんとのやりとりから)

毎朝、子どもたちはスクールバスから降りてくると、マカトンサインと精一杯の言葉で休みの日の出来事やバスの中での出来事などをうれしそうに報告してくれます。

今年度私が担当するクラスは、小学部115名の子どもたちが在籍しています。5名の子どもたちはそれぞれ表出言語があるものの単語レベルから簡単なやりとりのできる子まで言葉の発達には大きな幅があります。

 子どもたちがコミュニケーション手段を獲得していくこと、伝え合うことが楽しいと思う気持ちをはぐくんでいくこと、そして見通しをもって自分の力で活動する力を育てていくことは、担任の願いであり保護者の方々の願いでもあります。

そこで、マカトンサインやシンボルを活用したコミュニケーションとそれらを支える認知発達を促す学習を保障する実践に努めています。

 幸い4名の子どもたちが就学前の通園施設でマカトンサインやシンボルに親しみ、基礎をしっかり身につけて入学するという経緯がありました。

4月当初から、マカトンサインを使って一生懸命自分の要求を伝える子どもたちに、サインに言葉を添えて応える努力を心がけてきました。

また、私たちの伝えたいことも必ずサインに言葉を添えて伝えるようにしています。

学校生活の流れや学習内容を伝えるようなときには、言葉やサインだけでなくシンボルカードを提示したり絵を描いたりして伝えるようにしてきました。

子どもたちが見通しをもって活動するためには、シンボルカードなどのわかりやすい視覚的な手がかりは欠かせません。

一日の生活の流れ、一つーつの学習内容と目的に応じて提示する場所や方法をわかりやすく整理するようにしています。

一日の流れは、大きなホワイトボードに学習内容をシンボルマークと文字で、場所は写真カードで上から下に順序を追って提示します。

それぞれの学習場面では、小さなホワイトボードに活動内容や手順をシンボルカードや絵、文字で書き込みながら伝えるようにしています。

入学してから8ケ月経ちましたが、片言の言葉とサインを使った単語レベルでのやりとりだった子どもたちが、言葉を交えて2〜3のサインをつなげながら、自分の思いはもちろん楽しかった出来事を伝えてくれたり、わからないことを確認してきたりする姿は本当にうれしいです。

先日、Tくんのお母さんから初めて「食べたいものを言葉で伝えてくれた」「お母さんと呼んでくれた」という報告が届きました。

一人ひとりの表出言語も驚くほど増えてきていることを実感します。

また、言葉の理解も高まり簡単な言葉だけでのやりとりもできるようになってきています。

「おしまい」「まって」「交代」などのサインと言葉の理解は、子どもたちが自分の行動を自分で切り替える手助けとなり、集団活動への参加がスムーズになりました。

新しい学習や場面で見通しがもてずパニックになっていたTちゃんは、シンボルマークと絵が手がかりとなり落ち着いて学習に参加できるようになってきています。

Aちゃんは、一日の活動が理解できるようになったことで、教室外の活動場所にひとりで移動できるようになりました。

伝え合えるうれしさやわかることの喜びを子どもたちと共有しあえる毎日はとても楽しいです。これからも子どもたちの成長を支えられるような実践をしていきたいと思います。



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