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らく相談室から

               京都  山崎祥子

スタッフ3人で始めた小さな「らく相談室」は、昨年11月で10年目を迎えました。

私はST(今は言語聴覚士という職種です)で、ことばやコミュニケーションに問題をもつ子どもたちの指導をするのですが、自分たちで相談室をもったおかげで、やりたいことをやりたいようにできるチャンスがきました。

宮使いの身では、その施設ごとに年齢・障害・指導時間などに制約があり、簡単に事業は拡張できません。

そこで、しがらみから解き放たれてマカトン法の対象や指導法もこの10年間でずいぶん広がったと思っています。相手に時間を合わせる、臨機応変にグループが組める、会場が使えるなど、開業ゆえの利点が生きたと思っています。

さて、1993年以前では日本版シンボルは開発途上で、シンボルをコミュニケーション手段としては看板やロゴ同様効果がありそうとは思っていましたが、今のように、構文や読み書きに役立てられるという実感はまだもっていませんでした。

開業した翌年の95年に、吉田くすほみさんと二人でREPの研修に英国に行きました。REPになるための研修も大変興味深いものでしたが、それ以上に見学に行った施設で見たこと一つひとつが、今の臨床に役立つことになりました。

そのいくつかをご紹介します。

前に勤務していた福祉センターでも、マカトンサインは知的障害や脳性マヒなどのために「ことばのない」子どもに指導をしていました。ところが、英国に行って、ことばを話している軽度の発達障害の子どもたちに対しても、サインとシンボルを用いた指導を見ました。

特にシンボルを用いて、構文指導や読み書きの前提となる指導が行なわれ、それが文字言語への橋渡しになることがわかりました。

また、行った先の施設では、障害をもつ人ももたない人も、大人にも子どもにもサインが使われているのをみて、コミュニケーションの手段になりうるには、啓蒙が大切であることも実感しました。

そこで、REPになってからは、開業のメリットも生かして、自分自身で手ごたえを確かめ、その上で受講してくださる皆さんにお伝えできるように、障害も様々な多くの子どもたちに使ってみることと、取り巻く大人にも理解し使ってもらえるようにしたいと考えました。

特に力を入れたのは、お母さんのグループ指導「マカトンクラブ」です。

当初は、入門セミナーにあたる内容を、月1回3回連続で、数年間続けました。子どもに適応する前に、まずお母さんにマカトン法の理念を理解してもらい、基本的な指導法を学んでもらうことが大切だと思ったからです。

らく相談室へは、地域も障害も年齢も様々な母子が相談にこられます。

グループ指導をしたことで、個別指導ではできない経験談や教材の交換などお母さんの交流が盛んになり、それがご自身のお子さんに使い続ける力になったと思います。

今でもマカトンクラブは健在で、サインの復習や我が子のためにシンボルを使った絵本作りなどをされています。

さて、REPの仕事は、セミナーやワークショップの開催やそこでの指導です。

関西では初級ワークショップを年に2回、上級とシンボルのワークショップを1年ごとに交代で開催します。

西は熊本、東は長野まで年に数回は出かけますから、初級を名古屋以西で受けた方はお目にかかった方が多いはずです。

マカトン協会ではマカトンの概要を知ってもらう「入門セミナー」、指導者を養成する「初級」「上級」「シンボル」の4種類があります。

お話する内容は、マカトン法のサイン・シンボルの特徴や実技、指導法が中心です。

そこでは障害そのものや発達のみちすじをお話する時間もなく、子どもがすぐに真似をしてくれないと諦める人や、指導法がわからずどう使っていいか困惑している人たちもいらっしゃいます。

そこで、生まれたのが子どもに関わる学校や施設の指導者の研究会「マカトンリーダークラブ」です。

この研究会では、マカトン法のワークショップ修了者が中心となって、事例を通して発達や障害、指導法を学び合っています。

事例の少ない人も、指導法がよくわからない人も、マカトン法を通して広くコミュニケーションの方法や指導を学び合っています。

このクラブで、最近、障害児の歯科治療にあたっている歯科衛生士さんが、子どもたちが予め歯医者さんがどんなことをするのかわかるようにカードを作ってくれました。これは、英国の歯科医の団体が作っているものに啓発され、それを参考に作られました。

各カードは表面には写真・シンボル文字、裏面はサイン・文字で書かれています。

受ける治療によって必要なカードを自宅に持ち帰ってもらい、お母さんがカードを見せながらサインとシンボルも使って説明するので、不安の高かった自閉症のお子さんも安心して治療を受けてくれたそうです。

色々な職種、職場の違いを活用して、これからも参加者皆で検討し、より良いコミュニケーショングッズや指導法を学びあいたいと考えています。

東京には、旭出学園にマカトン協会会員を対象にコミュニケーション研究会があります。京都には、我がマカトンリーダークラブがあります。

交流しながら学びたい人、サインを忘れた人の再学習にも使ってください。開催日は月1回、平日夜6時半から、らく相談(京都市北区北野紅梅町85、FAX075-465-4151)でやっています。

さて、新しく相談にきた子どもがマカトン法を使うことになると、家族みんな、担任の先生など子どもをとりまく皆で覚えて使いあうことをお願いします。すると、お父さんも休日にきてくれる場合が増えました。らく相談室が土・日も開けているメリットだと思います。

でも、家族に兄弟がいると、本当に心強いんです。

彼らが一番に覚えて使ってくれ、またコミュニケーションも上手です。

 皆さんは誰に教えていますか?


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